【8月インタビュー】 


   圓尾 和紀様

   管理栄養士

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―圓尾様は現在、フリーの管理栄養士としてご活躍されています。しかし、それ以前は病院栄養士をされていたと伺いました。

まず、病院栄養士の道に進まれたきっかけ、そしてフリーの管理栄養士の道へと転向されたきっかけをお聞かせ頂けますか?

 

大学では、ラットを用いた動物実験を行う研究をしていました。動物実験は、ラットの飼育・管理・データ収集などが必要になりますが、この作業をほぼ一人で行わなければいけませんでした。誰かがお礼を言ってくれるわけではなく、自分なりの達成感を感じるだけで終わっていたという経験から、直接人と関わる仕事の方がモチベーションが続くと思ったこと、そして自分が勉強してきた知識が活きて患者さんが元気になるという、役に立っていることを実感できる職場が病院だと思ったことから、病院栄養士の道に進みました。

しかし、病院栄養士を目指す一方で、予防医療にも関わりたいと思っていました。それは、食事ではどうにも改善できない患者さんがいらっしゃって、病気になる前にできることがしたいという思いからでした。病院にいる限り、予防医療とは違う分野で働かなくてはいけません。さらに、予防医療に関わりたいと思っても、実際に働く場所がないという現状もあります。そんな中、TwitterFacebookなどSNSを利用して様々な人に会おうと計画し、実際にフリーでご活躍されている管理栄養士さんにたくさんお会いしたことが、大きなきっかけになりました。フリーの方のお話を聞くにつれて、フリーで働くことが楽しそうだな、と憧れを抱くようになりましたし、働く時間・場所が自分で決められることもとても魅力的でした。こうして、現在はフリーで仕事をしています。

 

 ―圓尾様は大学卒業後、大学院に進まれたとお聞きしましたが、その理由はどのようなものだったのでしょうか。また、大学院ではどのような研究をされていたのかお聞かせいただけますか。

 

臨床栄養学研究室にいたのですが、そこでは病気と食事の関係を探る、ということをしていました。なぜそこに行こうかと思ったかというと、何をもっと専門的に学ぼうかなと思ったときに一番勉強していて面白かったからです。病気のことも学べるしそこにいかに栄養が絡んでくるか、勉強していて国試でも一番面白かったです。なぜこの病気でこの食事なんだろう、と考えると、この病気の症状がこうなっているから栄養的にはこう言ったことが必要で、だから食事がこうなります、というように全部がつながることに面白みを感じていました。研究室ではいろいろしていましたが、動物実験がメインでしたね。

 

 ―実は、本日インタビューをさせて頂く私達3人のうち、2人は病院栄養士になりたいと考えています。病院栄養士のご経験がある圓尾様が実際に経験された病院での業務、そして、病院栄養士の現状などお聞きしたいです。

 

私の勤めていた病院では朝勤・夜勤はありませんでした。主な業務としては、献立作成、個人または集団に対する栄養指導、アレルギーへの対応、病床の患者さんの元を巡回する、HPの更新などでした。感じたのは、病院の中で栄養について一番知識を持っているのは管理栄養士であるということ。医師によっては、栄養に対してあまり関心を示さない人も中にはいます。しかし、食事の改善が治療に有効であるというデータが得られていることを説明し、メリットを理解してもらえれば、考えを変える医師もいました。世の中では、まだまだ管理栄養士の職業地位が低いと言われていますが、医師に意見できるほどの栄養知識を蓄えた上での自分の働きかけ次第で、その病院で提供される食事のレベルが変わります。とてもやりがいがありました。

 

―男性の管理栄養士は少ないのが現状だと思いますが、男性管理栄養士という視点から何か思われることはありますか。

 

男性はやはり少ないです。職場で感謝されることはありましたね。女性だけだと変な気を使うけれど、それがなくなるからありがたいと言われることもありました。3040代になって患者さんに指導するときに男性だからこそわかること、お酒飲みますよね、とか、もしかしたら男性から言われる方が聞く人もいるかもしれません。

 

―圓尾様は留学経験をお持ちだとうかがっているのですが、留学されたきっかけや利用された留学システムなどについて教えていただけますか。

 

大学一年生の春に周りを見たらみんな将来に向けて勉強していて。それまで嫌いだったんですけど英語をやってみようかなと思ったんですね。それでまず勉強の仕方から勉強して。勉強するなかで何か目標を決めようと思ったときに大学のパンフレットで交換留学の制度があることを知って、しかも一年間大学に通う費用だけで良いということなので挑戦しようかな、と。そこから留学が目標になって一年間勉強して、選考を受け、選ばれて行ったんです。アルスター大学という北アイルランドにある国立大学で期間は大学3年の後期から一年間でした。

 

―何か留学で困ったこと、大変だったことはありますか。

 

勉強して行ったので言葉の壁はあまり感じませんでしたが、英語のなまりがひどくて困りましたね。

 

―留学でどのようなことを学ばれたのですか。また、留学経験が生かされていることがあれば聞かせていただきたいです。

 

ヘルスアンドライフサイエンスという学部で、向こうの栄養学を学びました。その栄養学の授業と、日本の歴史とか映画の授業をとりましたね。留学をして、日本がどのような国かを改めて知ったことが一番の収穫かもしれません。一番感じたのは自分の国に対する気持ちの違い。日本人はあまり日本が好きではないのかな、と感じて。日本では価値観が統一されているので、こうじゃなきゃいけないということがあるのかな、と思いました。

 

―英語をお仕事で使う機会はあるのでしょうか。

 

今のところ英語については仕事ではあまり使わないですね。外国人の患者さんが来た時には使いましたが。

 

―今の日本ではまだ英語を使わないのですね。

 

そうですね。

留学で得たことは英語というより考え方ですね。大学院に行ったのも留学の体験が大きくて。海外の学生の意識の高さを肌で感じました。もっと専門性を高めて、ゆくゆくは世界で活躍できるくらいになりたいと思ったのでまずは働くより大学院に行こうと思いましたね。授業の内容と進め方は日本と違いました。調理実習もあったけれど扱うものが違う。それから、ベジタリアンの勉強をしました。授業の進め方は全然違っていて。基本的に授業がメインではないんですよ。授業で一応やるけれど予習が当たり前で。生徒からの発言も多くて双方向の授業でしたね。

 

―これから実習を経験する栄養学生に向けて、アドバイスをお願いします。

 

実習先は事業所、保健所、病院など様々だと思います。どれも貴重な機会なので遠慮をしないこと。実習を受け入れている側も、正直に言えば面倒だと感じているはずです。ですが、皆さん情熱をもって仕事をなさっているので、後輩のためなら、と思って真剣に向き合ってくれます。そんな環境で、受け身になっているのはもったいない。「ここについて、もう少し教えて下さい。」とか、連絡先を交換して「後日お茶して下さい。」でも良いと思います。やらされている、という意識ではなく、積極的に色んなことを吸収していって下さい。

 

 

~インタビューを終えて~

 

初めてのインタビューでガチガチに緊張していた私達からの質問に、爽やかな笑顔で答えて頂きました。きっと病院栄養士をされていた頃も、この物腰の柔らかさで患者さんに真剣に向き合ってらっしゃった、と思うと改めて、管理栄養士は「人」を相手にする職業であることを実感しました。

 

圓尾様はフリーの管理栄養士として現在ご活躍中ですが、栄養士の交流会を開催されたりしています。圓尾様は熱意と、様々なご経験、確かな栄養知識をお持ちである上に、人とのつながりを非常に大切になさっている方です。私も熱意を忘れずに勉学に励み、多くの方と交流し、「人」に食の大切さを伝えられるような管理栄養士になろうと思います。

 

 

 

 記事 中川・加藤・四條