2014年度 春インタビュー】

 

高梨 淳子 様

 

管理栄養士

株式会社明治 研究本部 食機能科学研究所

スポーツニュートリション研究部 専任課長

 

 

 

 

――-――――高梨さんは株式会社明治(以前は明治乳業)に勤められていて、北京・ロンドンオリンピックに向けて女子バレーボールチームの栄養指導を行っていたと伺いました。どのようなきっかけで栄養サポートを行うことになったのでしょうか?

 まず、明治乳業に入社したのは偶然です。当時は栄養士の資格を持っていて、有資格者としての枠で入社しました。まず乳幼児・妊産婦栄養の分野で営業、販売促進などといった普及業務をおこなっていました。その後、会社の事業領域の拡大とともに臨床栄養領域の分野で流動食や摂食嚥下に関わる業務、スポーツ飲料VAAMの発売とともにスポーツ栄養領域の業務に従事しました。そして、2005年に弊社が日本女子バレーボールチームのドリンクスポンサーになり、そのスポンサーの業務の一環として、管理栄養士としてチームのコンディションスタッフの一員となり、2012年のロンドン五輪まで現場で栄養サポート活動を行いました。

 新規事業はプロジェクトチームを発足して立ち上げることが多いのですが、そのメンバーとして事業の立ち上げを担うことが多かったと思います。なぜか事業が軌道に乗る頃になると、異動になり、しばらくして、また別の新しいプロジェクトや業務に係るというサイクルが多いです。なぜか判りません。(笑)結果的に乳児栄養、臨床栄養、スポーツ栄養と多くの分野を経験することができました。全日本バレーボールチームのスタッフとしての活動に際しては多領域の経験、新規事業の立ち上げの経験があったことは活かされたと思います。ただし、スポーツ栄養の現場での経験はなかったので、全日本女子バレーボールの栄養サポートにあたっては社外の先生のご指導を受けて行いました。栄養サポートは「現場で信頼を得なければ成り立たない。そのためには中途半端なことはしていはいけない」とアドバイスを受けて取り組みました。当初、上司には「やりすぎ!」と言われてしまいましたが、スポーツの現場に行くと乳製品の役割がとても明確になると報告をしたことで理解を得て、さらに、思いっきり取り組むようにと背中を押されて北京オリンピックまで取り組みました。チームもメダルには届かず、私自身の栄養サポートにも不完全燃焼があり、残念に思っていましたところ、次のロンドンオリンピックに向け、真鍋監督が新しいチームをスタートする時に日本バレーボール協会より連絡があり、再度スタッフとして参加することになり、ロンドンオリンピックに臨みました。目標とした色のメダルではありませんが、銅メダルをとれたことは本当に良かったと思いますし、私自身としても8年間の栄養サポートの区切りとなりました。現在は現場でのサポート活動は後輩にバトンタッチし、研究本部に席を置いています。

 

――――――――――――やりがいを感じるのはどんな時ですか?

 

  会社内で新規事業に携わる機会が多かったのですが、「新しいことを形にする」のは労力がいりますし、以外に風当たり(社内の)が強いことも多かったのですが、それ以上に社内外の多くの方に教えをいただきました。視野や考えが広がり、この経験をできることがやりがいになったと思いますし、また、財産でもあると思っています。また、新しいことを一緒に立ち上げるチームメンバーとの一体感もやりがいにつながっていると思います。全日本女子バレーボールのスタッフとして取り組んでいた時も同じです。一つの目標にチーム全員で取り組む、そこでの自分に与えられた役割が目標達成につながるということはとてもやりがいがあります。

 

――――――――――――これから目指すところについて教えて下さい。

  主に2つあります。一つ目は今までの現場の経験を振り返り、検証するということ。もう一つはこの経験を基に会社や社会にフィードバックをして、なんらかの貢献できればと思っています。社内外の後輩を支援することもその一環と思っています。

 

―――――――――管理栄養士として求められるスキルは何ですか?

 管理栄養士は、栄養を通じて人への介入を行う資格であり、人と多く関わる職業です。コミュニケーションスキルということが大事ですが、具体的には話をしっかりと『聞く力』や、相手を見て状態を把握する『見る力』が必要になると思います。直接お話を聞いたり会ったりすることで必ず気づくことがあります。気づきを大事にしてください。

また、管理栄養士は国家資格なので、もちろん専門的知識が必要になります。今、授業で習っていることは管理栄養士として必要な最低限の知識です。そして、その専門知識は時代と共に日々変化します。そのために資格を取得した後も新しい知識を常に取り入れてスキルアップしていくことが大切です。新しい情報が得にくい場合は、周りの管理栄養士仲間や大学時代の管理栄養士仲間と情報を共有するとよいと思います。卒業後も他の職場にいる管理栄養士の友人とのネットワークを大事にしていくことがよいと思います。

 

―――――――――学生のうちにやっておくべきことはありますか?

  感性を磨くということを大事にしてください。そのためには、いろんな人に出会う、お話しをする、聴くことです。そして、自分の興味があることに自ら積極的に動いて感じて経験してください。特に、リアルな経験(実体験)をすることは感性を磨くと同時に、様々な情報の中から正しい情報を読み取る能力を高めることにもつながります。いろいろなところに旅行に行ったり、様々に人に会ったりしてみてくださいね。

 

―――――――――美味しい牛乳の飲み方を教えて下さい!

  美味しい牛乳の飲み方で1つ面白い情報があります。

牛乳を飲むときにコップで飲むときに比べて牛乳瓶で飲んだときのほうが美味しいと感じるということはご存知でしょうか?牛乳瓶のふたを開けるときに牛乳の香りがふわっと広がって美味しいと感じたり、牛乳瓶の飲み口がコップより接触する面積が大きいことで舌触りがよくひんやりと美味しく感じたりするためであるということがわかっています。私たちの株式会社明治ではこのような美味しさの要因に関する研究も行っています。他にもさまざまな面白い研究があるのでぜひ調べてみてください。

 

―――――――――おすすめの本、レストランはありますか?

  おすすめの本は4つあります。

人生はニャンとかなる(文響社)

  とても元気が出る本なのでおすすめです。同じシリーズで人生ワンチャンスという本もあります。

プリズンホテル(浅田次郎 著)

科学者が人間であること(中村桂子 著)

栄養学原論(渡邊昌 著)

   渡邊昌先生の本です。栄養学の歴史から栄養学について書かれている本でおすすめです。

 

  おすすめのレストランを二つ紹介します。

・千葉県佐倉市 カステッロ(イタリアン)

   恩師からご紹介いただいたイタリアンのお店です。とても美味しくて気に入っているレストランです。このレストランに行こうと誘われたら絶対行きたい!

  また自分自身でも行きたい!というとてもおすすめのお店です。

 

・横浜市戸塚区 九つ井(そば)

   ここのお蕎麦が美味しいです。いつ行っても美味しいと感じることがこのお店の魅力です。本店のほかに横浜店・大和店・玉川店などに支店があります。

 

~インタビューを終えて~

  今回は、今年初のインタビューでした。インタビューをさせていただいたのは、オリンピックにも携わった高梨様ということで、とても貴重であまり聞くことのできないお話などたくさんしてくださいました。今回のインタビューを終えて、いかにスポーツと栄養の間には深い関係があることを再確認することができました。まだまだスポーツ栄養については学校でもそこまで深く学ぶことがないので、今回このインタビューで得た知識を大切にし、自分の目標に向かって頑張っていきたいと思います。

 

文章:太田代、佐藤、猿田